【PiPiの表示数値に関する特徴と放射線測定結果の判断基準について】
この装置の放射線検出器には、ガイガーミュラー管というガスが入った真空管のようなものを使っています。 ガイガーミュラー管の内部を放射線が通過するときに、中に入っているガスの原子を イオン化(電子を剥ぎ取り電荷を帯びた原子にすること)し、それが雪崩のように連続することで、放射線1個の 微弱な信号を増幅して大きな電気信号パルスとして容易に観測できるようにしています。 この測定器では、放射線1個観測されたときに「ピ」という音を発生させると同時に個数を数えています。その個数の 表示が「CP」という欄に現れる「カウント数」です。 放射線強度を測りたいときは、毎分何個の放射線が信号を鳴らしたかを数える必要があるので、測定開始からの 時間(分数)で割ったのが「CPM」という欄に現れる「計数率」という数字です。 さらにこの計数率から、空間放射線強度(1cm線量等量率、μSv/h)求めるには、検出器の感度で割る必要があります。 本製品では、強度のわかっているCs137標準線源を用いて感度を校正して出荷しています。

ガイガーミュラー管は、簡単な装置で放射線を数えることができるすばらしい装置ですが、欠点もあります。 主な放射線の内、α線は管の中に入れません。β線は広い範囲のエネルギーで飛んできますが、その内エネルギーの高い成分はガラスの容器を突き抜けて管の中に入り、無事入ったときにはほぼ必ず信号を出します。一方、γ線はほとんど突き抜けてしまうのでだいたい100個に1回くらいしか信号を出しません。 さらに信号が鳴ったというだけで、どの種類の放射線が入ってきて、どんなエネルギーかを区別することができないのです。 この測定器を空間放射線強度(1cm線量等量率)[μSv/h]の測定に使うには、γ線だけを入るようにしなければ正しい値を表示しません。 さらに、γ線のエネルギーを区別して測定していないので、μSv/hの値についてはあくまでも簡易的な目安と考えるべきなのです。 一方、地面等の表面の局所的な汚染を調べるときには、感度を高く測れるβ線を観測すると便利です。この際は、CPMの数字を目安にして 場所ごとの違いを見ると良いでしょう。

測定の確からしさを判断するには、絶対精度と相対精度の違いを理解する必要があります。 相対精度は、本機の場合、測定したカウント数の平方根できまります。100カウントまで数えたら10%の相対精度で測定できる ことになります。そのために本機ではカウント数とその平方根から導き出せる相対誤差の値を%で表示しています。 一方、絶対精度は相対誤差に加えて、校正の確からしさや放射線のエネルギーが不明であることなどからくる効果を考える必要があります。 たとえ1万カウントまで数えて相対精度を1%で求められたとしても、絶対精度は10%より良くなることは考えられません。

測定の目安としては、移動しながら測定するときでも最低100カウントくらいまで数えてその地点の強度としてください。一方、2地点の 相対的な違いや、毎日の変化を追うような場合は、できるだけ多くのカウント数まで測ることによって、相対的に有意な違いがあるか 判断することができます。

製品名 放射線カウンター「ピピ」
希望小売価格 ¥26,250(税込)
製品情報サイト https://www.p-ban.com/pipi
付属品 取扱説明書、保証書、単4形アルカリ電池2本、USBケーブル
電池寿命 <約600mAhのアルカリ電池を使用する時の参考値>
GPS機能オフ時、1日1時間使用で約10日 / GPS機能オン時、約2時間から3時間
表示数値
  • 検出された放射線の総カウント数(cp):MAX9999
  • 放射線の計数率(cpm):MAX999cpm
  • 測定秒数:MAX999秒
  • 空間線量率(μSv/h):MAX9.99μSv/h
  • 統計誤差(%)
  • 高圧電源モニタ
  • 電池交換表示:電圧2.0V以下で不足表示
検出器 ガイガーミュラー管J304
※Cs137の標準線源を用いて個体ごとの感度の校正を全数に対して行い、補正係数を設定してから出荷します。
※本機の平均的な感度は、117cpm/(uSv/h) (Cs137)です。
測定対象 β線、γ線(※付属のアルミカバーをつければγ線のみ測定可能)
測定範囲 0.04μSv/h(5分間測定時)~ 9.99μSv/h
メモリ 移動モードで約18時間の測定データが保存可能
本体サイズ/重量 120mm(最大幅) ×150mm(長さ) ×厚み22mm / 約120g