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space 第94号|2020年12月発行 presented by P板.com
目からウロコ!のQ&A便
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異形基板を面付けする方法を教えてください。
形状、分割方法などを一つずつ決定しましょう。
面付けする目的は、製品全体の工数を下げたい、品質を上げたい、セット基板なのでまとめて製造したいなど人によって様々です。どの目的を達成するかで、面付けの条件や優先順位などが変わるので、何から手を付ければ良いか悩む方も多いでしょう。見方を変えると、面付けはパズルに似ています。限られた条件を一つずつクリアしながらゴールを目指す、面付けに悩んでいる方も一つずつ条件をクリアすることで面付けが出来上がります。
悩んだら外形は四角を目指す
実際の面付け作業では、条件や優先順位などの確認をする必要がありますが、まず条件を設けずに面付け外形を考えてみます。今回は、下記3種類の基板を使用します。
・A基板:100mm X 70mm、異形(以後、「A基板(100x70)」)
・B基板:70mm X 25mm、矩形(以後、「B基板(70x25)」)
・C基板:30mm X 25mm、矩形(以後、「C基板(30x25)」)
※分かりやすくするため、内外Rなどは削除しています。
img_1.png
まず、面付け外形の当たりをつけることから始めます。3種類の基板は形状が違うので色々な組み合わせが出来るので悩みます。そこで、目安として四角形となる組み合わせを考えてみましょう。どんな四角形がよいか分からない場合は、正方形に近づけるようにします。さて、A基板(100x70)、B基板(70x25)、C基板(30x25)を四角形になるように組み合わせてみました。無駄のない綺麗な長方形ですが、これで完成にしていいでしょうか。
img_2.png
その分割方法は使えますか
上図をみるとC基板(30x25)は、A基板(100x70)の切り欠き箇所にぴたりと収まっています。この状態で対応できる分割加工があれば問題ないですが、Vカット、ミシン目ともに対応できません。Vカットは「基板の端から端まで入れる」というが条件にありますし、ミシン目はミシン目加工を入れるために一定の間隙が必要となるためです。ジャンプVカットも、Vカットの終端から15mmの捨て基板かスリットが必要なため対応できません。また、製造時は分割加工をせず、基板を受け取った後にあらゆる手段を使用して割ることは可能かもしれませんが、ハイリスクローリターンのためおすすめは出来ません。結果、再度面付け外形を考えることになります。なお、分割方法は面付け外形と同時に考えますが、条件を分割した方が分かりやすいので、今回は分けて書いています。補足ですが、分割方法を考える初期段階では、ジャンプVカットの使用は避けましょう。ジャンプVカットは、Vカットやスリットと比較して特殊な加工方法です。品質やコストなどで差が出ることもあるので、最後の選択肢と考えた方がいいでしょう。
無限の組み合わせを有限にする
分割加工が出来ることを前提に、面付け外形を再考します。今回は、C基板(30x25)を動かした2案と、B基板(70x25)とC基板(30x25)を動かした1案を考えてみました。
img_3.png
AA面付けは、C基板(30x25)をVカット接続が可能な位置に移動した形です。各基板との接続はVカットのみです。ただし、気になる点もあります。
・C基板(30x25)の接続箇所にバリがでる
・C基板(30x25)の出っ張りが、各工程や配送時に分割箇所が壊れる可能性がある
・短辺と長辺の比率が大きい長方形になっている

BB面付けは、C基板(30x25)を90度回転させミシン目接続する形です。AA面付けよりも正方形に近づいていますが、
・A基板(100x70)、C基板(30x25)のミシン目でバリがでる
・C基板(30x25)が少し出っ張り、各工程や配送時に引っ掛ける可能性がある

CC面付けは、B基板(70x25)とC基板(30x25)ともに移動をした形です。分割箇所もミシン目に統一しており、形状も正方形に近づきました。気になる点は、
・A基板(100x70)、B基板(70x25)、C基板(30x25)のミシン目でバリがでる
・出っ張りの原因となる凹みがある

それぞれ一長一短の面付けですが、何を優先するかで選択する形状は変わります。今回は、より正方形に近いCC面付けを採用します。もちろん、凹み箇所は何らかの対応をする必要があります。
面付け例
では、各基板を面付けします。Vカット加工の条件である「基板の端から端まで入れる」を守れる箇所がないので、全てミシン目加工となります。ミシン目の方法は、過去記事をご参照ください。各基板をミシン目でつないだところで、気になる箇所があります。C基板(30x25)の出っ張りと接続箇所の少なさです。このままでは、各工程などで接続箇所が破壊される可能性が高いので、凹み箇所に捨て基板を追加して補強します。この時、捨て基板とA基板(100x70)も接続することが重要です。未接続の場合、C基板(30x25)の接続は増えても実質の接続箇所はB基板(70x25)のみとなるためです。これで、CC面付けが完成しました。
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分割時のバリをなくしたい場合は、以前のQ&Aで紹介した内バリになるよう、各基板に食い込ませるようなミシン目にしましょう。各基板を設計済みの場合は、各データの食い込み箇所に部品や銅箔などがないか確認をし、あれば修正する必要があるので注意してください。また、ニッパーを使ってミシン目を分割したい場合は、ミシン目の幅にも注意が必要です。スリットか分割箇所を、ニッパーの刃先が入る幅にしましょう。
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今回紹介した面付けは、あくまで基本的な考え方です。捨て基板、板端近くの部品、バリの有無、マウンター実装対応などの条件と優先順位が追加されていけば、全く違う面付けになります。基礎を押さえた後は、面付け形状を考える前に条件と優先順位を可視化し、その条件にあった加工方法を組み合わせることで手戻りなく面付けが出来るでしょう。出来るだけ多くの条件と、その時の面付け手法を覚えれば今後の面付け作成も楽になります。
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