はじめに
本連載 第1回は、LEDの電流制限抵抗の求め方を説明しました。
今回は、白色LEDを駆動する実験用のスイッチング電源を作ります。スイッチング制御には、汎用の定番タイマIC “555”(TLC555、NE555L、LMC555など)を使います。アナログ・デバイセズ製の電子回路シミュレータ“LTspice”で作った回路ファイルを公開したので、ぜひご自身のパソコンで動作を確認してみてください。
時間でレベルを調整する“PWM”
“L”と“H”の2値でアナログ信号を生成する
PWMは、一定の周期(または周波数)で、ON時間とOFF時間が制御された2値信号(ディジタル信号)を平滑してアナログ信号を得る技術です(図1、図2)。
LレベルとHレベルの2値しか出力できないコンピュータでも、連続的(アナログ的)にレベルが変化する信号を生成できます。マイコンやFPGAとの相性がよいため、LEDの調光以外でも多くのシステムで利用されています。
具体的には、マイコンのプログラミングで周期一定の信号を生成し、1周期のうちのONとOFFの比率を調整して、アナログ信号の電圧レベルを制御します。ONとOFFの時間比を「デューティ(duty)比」と呼びます。
図1 デューティ比が大きいPWM波形(LEDが明るく点灯する)
図2 デューティ比が小さいときのPWM波形(LEDが暗く点灯する)
PWMを使う理由1:色合いを変えずに輝度を調節できる
LEDの明るさは、電流制限抵抗を可変抵抗に交換して、順方向電流の大きさを調節すれば連続的に変化させることができます(図3)。
図3 最初に思い浮かぶLEDの明るさを調節する方法
LEDの明るさは、順方向電流の大きさに対して線形に変化しますが、同時に発光色(色度)も変化してしまいます。そこでLED照明のメーカは、順方向電流を一定にしつつ明るさを調節できるパルス幅変調技術“PWM”(Pulse Width Modulation)を利用しています。
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