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space 第97号|2021年03月発行 presented by P板.com
目からウロコ!のQ&A便
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いつもQ&A便をご購読いただき、ありがとうございます。

今月号のQ&Aは、2020年1月から2021年2月の配信記事から、反響の高かった記事TOP3をお送りします。チェックし忘れた記事、再度読みたい記事があるかもしれません。是非チェックしてみてください。

それでは、「目からウロコ! のQ&A便 第97号」をご覧ください。
■Index■
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Question & Answer No.01

高さ0.5mm、線幅0.05mmのシルク文字は読めますか?
比較用のサンプル基板を作成したのでご覧ください。
シルクの一般的な役割は、基板や実装部品、使用法などの情報を正しく伝えることです。正しく伝えるということは、印刷したシルクが可読できるかが重要です。そこで今回、様々な仕様のシルク用サンプル基板を作成し、どこまで可読できるかを確認します。なお、基板上で伝える必要がなければ、シルクレスで問題ございません。
シルク文字確認用サンプル基板
作成したサンプル基板より、下記仕様のものを使用して確認します。シルク印刷工法には「シルクスクリーン印刷法」「インクジェット法」「写真法」がありますが、今回は今後のシルク印刷(白色)の主流となるインクジェット法で説明します。
サンプル基板の製造条件
・シルク印刷工法:インクジェット法
・銅箔:あり
・レジスト:あり
・シルク色:白
・文字高さ:0.5mm/1.0mm/1.5mm/2.0mm
・文字線幅:0.05mm/0.1mm/0.127mm/0.15mm/0.2mm/0.25mm
シルク文字の可読
上記仕様のサンプル基板の拡大画像を掲載します。
最小値未満でも可読できる文字は存在しますが、印刷文字やパターンの影響で可読性が変わることが見て取れます。なお、実基板サイズで確認したい方は、寸法を参照の上で印刷してご確認ください。
※最小値未満のシルク文字の品質保証をするものではございません。ご注意ください。
最小値未満の文字がある場合
最小値未満の文字の可読性は、”見る人次第”で変わります。最小値未満のシルク文字を使用する場合は、上記画像をご参照の上、自己責任で設定いただくことになります。

一般的に文字線幅は最小値未満を避け、0.15mmから0.2mm程度にすると可読しやすくなると思います。文字が潰れたとしても、認識している文字であれば感覚的に可読しやすくなります。また、穴やレジストなどでシルクが削れても、シルクが残りやすくなるのも長所です。

ただし、基本は最小値以上のサイズで設計します。どうしても入らない場合は、必要なシルク以外を削除することも考慮しましょう。
シルク印刷工法の違い
つづいて、印刷工法違いでの可読性を確認してみます。今回は、インクジェット法とスクリーン印刷法を比較します。それ以外の仕様は、前述同様です。

画像を見ていただくと、多少文字が潰れていますがスクリーン印刷法が可読しやすいと思います。印刷工法の違いもありますが、使用するインクも影響しています。

インクジェット法で使用するインクは、スクリーン印刷法のインクに比べ色が乳白色に近づくため、スクリーン印刷法よりも薄く見えます。そのため、同じ線幅でも文字の可読性が変わります。
プリント基板はパターン形成が正しければよい、シルクの出来栄えは不要と考える方もいます。その場合、シルクサイズや重なりチェックは、無用の長物です。

そこで今回、シルクとレジストの一部CAMチェックを不要にする項目を追加した製造指示書を作成しました。チェックが不要な方は、各項目をご選択したうえで製造データと一緒に送付いただければ、選択項目のチェックやお問合せはせずに製造を進めます。

最後に、今回製作したサンプル基板は、P板 .comのセミナールームへの展示、テクニカルガイドラインへの掲載を予定しています。機会があれば、是非ご覧ください。

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Question & Answer No.02

面付基板を分割する時、注意する点はどこですか?
分割箇所だけに効率よく力を伝えることが重要です。
基板の面付けは、一般的な手法のため多くの技術者が使用します。そこで、面付けを利用している技術者に面付けで重要視していることを聞いてみると、「シート外形に対して効率的に並べる」という回答が最も多い結果となりました。ただ、効率的に並べることに重点を置きすぎたため、製造後の基板分割が困難になる問題が起き、相談を受けることもあります。なぜ分割が出来なかったのか、実際に相談を受けた例を交えながら考えていきます。
分割箇所の加工方法と分割方法
一般的にプリント(リジッド)基板の材料は硬いです。そのため、基板製造後に分割するには、基板上へ分割用の加工を施します。加工方法は、スリットやミシン目、Vカットなどがあり、これらを組み合わせて面付けをします。

なお加工を施さずに基板製造をし、その後分割する場合、分割用の専用機器の使用か相当な労力を払う必要がでます。さらに、基板分割箇所を目算で決定するため、分割位置や精度に難がでるのでおすすめは出来ません。

つづいて、基板を分割する一般的な方法は、
 ・手で割る
 ・ラジオペンチで固定して割る
 ・ニッパーで切る
 ・Vカット分割機で切断する
 ・ハンドルーターで切断する

Vカット分割機やハンドルーターは、基板への負荷を軽減し分割後の断面が均一になりますが、機器を準備するのは容易ではありません。製造、実装会社などで使用することが多いでしょう。逆に、手やラジオペンチ、ニッパーを使用する方法はハードルも低く、個人で実施する事ができます。では、基板側の加工方法と分割方法の組み合わせをまとめます。
 ・スリット、ミシン目 : 手で割る、ニッパーで切る、ハンドルーターで切断する
 ・Vカット : 手で割る、ラジオペンチで固定して割る、Vカット分割機で切断する
分割箇所を設ける時のポイント
分割箇所の加工方法と分割方法を確認したので、実際にご相談頂いた内容を例に、なぜ分割が難しくなったのかを考えてみます。
単純にVカットが手で割れない
一番多い内容は、捨て基板を分離用のVカットが手で割れにくい、割れないというものです。基板材料は硬いため、V溝が入っていても形状次第、例えば捨て基板の幅に比べてVカットが長いと割れにくいです。この場合、ラジオペンチなどで基板を固定し、Vカット箇所により強い力を掛けて割ることができますが、固定箇所やVカット周辺の銅箔や部品固定箇所に負荷がかかるので注意が必要です。他の対処方法として、
 ・Vカット長さに対し、捨て基板の幅を大きくする
 ・Vカットの途中にスリットをいれて、Vカット長さを調整する
 ・カッターでV溝を深く入れてから分割する
ただし、カッターを使用する場合、Vカット以外の箇所を傷つける可能性がありますので慎重に処理をしましょう。なお、Vカットをより深く入れて欲しいという相談もありますが、深く入れすぎると後工程や輸送時などに割れてしまうことがあるため、基準書通りの数値で対応します。
分割箇所をまたいだ部品があって割りにくい
つづいて多い相談内容は、Vカット上に部品外形があり分割しづらいというものです。手で分割する場合、基板を上下に動かしながら分割することが多いでしょう。そのため、部品が分割箇所をまたいで配置していた場合、Vカット折面が部品の無い方向に固定されるため割りづらくなります。また、部品方向に動かした場合、実装部品のはんだ付け箇所や部品本体に余計な負荷がかかり不具合の原因となります。この場合、設計段階で分割箇所をまたぐように部品を配置しないことが大前提となります。またぐ必要がある場合は、部品が当たらないようくり抜き穴を設けるなどして対処しましょう。
基板を分割して納品
プリント基板製造を選択して頂いた場合は、ルーター切り出し面付けをご使用いただくことで、複数種類の基板を分割した状態でお届けできます。部品実装後のVカットとミシン目の分割は、お問い合わせいただければ対応可能です。分割基板の図面情報と要望を送っていただければ、専門スタッフから対応可否含めた返信をいたしますので、お気軽にご連絡ください。なおミシン目を割った場合、バリが発生します(Q&AVol.42)。バリをなくしたい場合は、「バリなし」の状態での納品も可能ですので、ご指示ください。

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Question & Answer No.03

ミシン目付近にチップ部品を配置する時の注意点は?
部品の配置向きに注意しましょう。
基板端や基板分割箇所の近くに部品を配置しないなど、プリント基板設計において部品配置に関するルールを設けている企業は多いです。これらのルールは、特定箇所に部品を配置したことで起きた過去の問題点を解決するために作られています。基板端の部品配置については過去のQ&Aでもお話しています。では基板分割箇所、特にミシン目の近くに部品を配置しない方がよいのは何故でしょうか。
ミシン目を手で分割すると基板はどうなる?
基板を分割するには、基板を固定し力をかけて割ることになります。ミシン目だけに力がかかればよいのですが、実際はその周辺にも力が加わり、わずかな変形が起こります。変形箇所に銅箔や部品、はんだ付けがあった場合、その箇所も変形し、結果トラブルが発生する可能性が高くなります。例えば、力がかかり基板が反った場合、図のような変形が発生することがあるため、分割箇所の周辺は部品配置を禁止することが多いのです。ただ、どうしてもミシン目の近くに部品を配置しなくてはならない時もあります。その場合、どういった配置がよいのでしょうか。
どの向きで配置する?
図は、ミシン目の近くにチップ部品を垂直(A)、平行(B)に配置した図です。基板分割時、どちらの配置が部品やはんだ付け箇所のストレスを減らすことができるでしょうか。
答えはBの配置です。ミシン目で基板を分割した場合、基板は左右方向に変形しやすくなります。変形方向を考慮した上でA、Bの配置を比較すると、Bの方が銅箔、部品ともに変形による影響が小さいことが分かります。変形が小さければ、変形箇所にかかる力も小さくなります。なお部品形状やパッドサイズが大きい場合は、実装向きに関係なく変形による影響が大きくなるので注意しましょう。また基板の分割時以外にも、部品挿入時、コネクタの抜き差し、基板固定用のねじ止めなど、外部から力を加える動作は基板変形の原因となりますので、作業時は注意が必要です。
変形によるトラブルは目視で確認できない、はんだ実装内部や部品内部で起きることが多いです。この場合、問題箇所を特定するには、非常に大きな労力を必要とします。後で大きな労力が発生する可能性がある場合、前段階で発生を抑える準備をした方が効率的です。

ただ、どうしても前段階で対処できず、ミシン目の近くに配置することもあるでしょう。安全か否かは技術者の皆様で判断していただく必要がありますが、少しでもミシン目以外の箇所に加わる力を減らす方法もあります。一つ目は、部品配置箇所をミシン目近くからスリット近くにする方法です。ミシン目箇所と比べれば、分割時にストレスはかからなくなります。二つ目は、分割方法を変更します。手やニッパーといった力がかかりやすい方法はやめ、ルーター機などの基板分割機を使用して分割しましょう。
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第97号|2021年03月発行
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