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お客様の声 株式会社LIFESCAPES 様
諦めていた生活を取り戻す—脳科学×AI技術で重度麻痺を克服
慶應義塾大学理工学部(牛場潤一研究室)で10年以上にわたり培ってきた、世界トップクラスのBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)技術で脳卒中患者を取り巻く課題の解決に取り組む、株式会社LIFESCAPES CTO森川幸治様と技術開発部チーフエンジニア須志原公治様に同社が取り組んでいる事業や今後の展開、そして「P板.com」の魅力についてお聞きしました。

森川 幸治様(写真左)
株式会社LIFESCAPES
CTO
須志原 公治様(写真右)
株式会社LIFESCAPES
技術開発部チーフエンジニア
今回製造された製品はどのようなものかお聞かせください。
森川さん 脳には本来、「治る力」が備わっています。病気やけがなどで傷ついても、新たなネットワークを築き、機能を再構築していく脳の性質のことを、「可塑性」と呼びます。
脳卒中では麻痺という病状があり、脳で血管が詰まったり破れたりして脳の神経細胞が損傷 ・ 死滅してしまうと、脳が発する運動指令が筋肉に伝達されなくなります。 そのため、手足を自分の意思で動かせなくなるという運動麻痺という症状が引き起こされるのです。
私たちは、*BMIによって脳と手指をつなぐ「代償回路」を活性化させ、BMIを外した状態でも自分の意思で手を開く動作ができるようになるための技術開発を進めています。
私たちの最初の製品は、生体信号を頭皮から高感度に測定し、適切な運動意図が形成されたと判断されたタイミングでロボットが動作を始めるという機器で、「LIFESCAPES 医療用BMI(手指タイプ)」と呼んでいます。
*BMI(ブレイン ・ マシン ・ インターフェース)は、脳科学とAIが融合した技術の総称です。
今回製造したLIFESCAPES医療用BMI(手指タイプ)
どのようなきっかけでP板.comをご利用いただくようになったかお聞かせください。
須志原さん 電子工作が趣味で、自分で試作できるようなものがないか探したのがP板.comをはじめて知ったきっかけです。その流れで、仕事でも使いたいと会社に提案しました。また、今回製作した製品は認証機関に試験をお願いしており、それが遅れると製品販売も遅れるということから納期を一番に重視し、納期遵守を謳っているP板.comにお願いすることにしました。結果として、納期を守っていただけたこともそうですが、設計から依頼をし、仕上がりには大変満足しており、丁寧な対応で安心して進めることができ、本当に助かりました。
今回の製品を開発するにあたってご苦労された点をお聞かせください。
須志原さん 認証機関に試験をお願いしていることもあり、そこが遅れてしまうとすべて遅れてしまうのでスケジュール通りに進めるのが一番大変でした。また、基本設計が古いこともあって部品も特殊なものが必要となり、部品調達の部分で少し手間取ってしまった部分があったかなと思います。
頭皮上から生体信号をピックアップするためのヘッドセット
P板.comを利用されていかがでしたか?
須志原さん 今回、設計からP板.comに依頼しました。P板.comの基板設計CADは、無料CADから有償CADまで選択肢が豊富で、自分の持っているCADを使えば簡単に改版設計ができる点が非常に便利です。特に、無料CADのKiCADに対応しているところが良かったです。
また、困っているときにお問い合わせ方法として電話でもWEBでもメールでもお問い合わせができるので安心でしたし、レスポンスも早いので大変助かりました。
さらに、今回製作した製品の中に入るすべての基板を一枚にまとめて(面付けサービス)製造発注できたので、納期だけでなく費用面でもお得に製造することができてとても良かったと思います。
ロボットの意匠は、指先が隠れることのないよう設計
今後、御社の展望をお聞かせください。
森川さん 2024年6月から最初の製品販売をはじめたところで、今後は病院での臨床実績を積み重ねていきたいと考えています。また次の製品開発に向けて試作をする際は、またP板.comにお世話になる予定です。新しくお願いする中で、センサーのデモ機開発サービス「gene(ジーン)」や「S-GOK(スゴック)」も問い合わせをさせていただきました。限られたリソースの中でマイコンなど通信部分も含めて一から作り上げるのは大変ですが、今後は紹介いただいたサービスによる開発効率の向上も検討しながら進めていこうと思っています。
お忙しいなか、とても貴重なお話をありがとうございました。