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お客様の声 スター精密株式会社 様

2017年7月

これぞIoT! 電池を利用しない通信機器に小さな基板が大活躍

静岡市に本社を置くスター精密株式会社は、東証一部上場企業であり海外売上比率80%を超えるグローバル企業。創業以来の精密機器のみならず、時代のニーズに合わせて工作機械、プリンターおよび周辺機器など幅広く展開しています。
新しい事業展開に向けて研究開発を続ける同社R&Dセンターの齋藤弘樹さんに、P板.comの基板を使った製品の研究開発秘話や、今後の展望などについてお伺いしました。

齋藤 弘樹 様

齋藤弘樹 様 スター精密株式会社 R&Dセンター 開発部

スター精密株式会社の「R&Dセンター」とはどんなところなのですか?

齋藤さん 創業67年を迎えた当社は、腕時計用精密部品の製造販売から発展し、現在では(1)特機事業(小型プリンターなど)、(2)工作機械事業(自動旋盤等工作機械)、(3)精密部品事業(腕時計部品、自動車用・空調機器用・HDD用・医療用等部品)という3本柱の事業を行っています。


ドラマ「下町ロケット」のワンシーンで同社の自動旋盤が使われました!
(スター精密本社2階展示室)

私が所属している「R&Dセンター」はどの事業部にも属していない研究開発部門であり、一番のミッションは、社内外の技術を元に今までにない新しい製品を作り出すことです。
現在、当センターでは、新規事業の創出のほか既存事業部の支援サポートも行っています。


R&Dセンターのホープ・齋藤さん

主にどのような製品開発に取り組んでおられるのですか?

齋藤さん 近年「環境発電」という身の回りにあるわずかなエネルギーを電力に変換する発電技術が注目されています。照明や振動、電磁波等のエネルギーを利用して太陽電池、圧電素子などを用いて電力に変換する発電方法です。この技術で発電した電力で、電波を発信する通信機の開発・試作を手掛けています。環境エネルギーを電源とするため電池を必要としません。

この通信機がまさにIoTなんです。人やモノの動きと連動して発信している通信機からの情報が、無線を通じてコンピュータに集まります。何気なく動いている人の行動やモノの動きが「見える化」するというわけです。

そもそも、なぜ電池レスの通信機器に行き着いたのでしょう?

齋藤さん IoTを実現、普及させるためには、電源問題が不可欠となると考えています。無線でネットワークを構築するとセンサーの数だけ電池が必要となり、そのコスト、電池センサー交換の手間がネックになります。そこで、環境発電を利用することで、「電池レス」を実現させました。


「電池レスという観点では、競合は非常に少ないです」(齋藤さん)

齋藤さんは、製品のどの部分を担当されているのですか?

齋藤さん 私は「電気屋さん」です(笑)。R&Dセンターの同じ部署内に電気屋さん、つまり電気関係の開発担当が5名おりまして、私ともう1人が基板を担当しています。

製品のメカ部分には、環境発電装置とP板.comで作ってもらった基板がセットになって入っています。

初期型の改良版である薄型タイプの通信機では、厚さ1.0mmの薄い基板、円盤型の通信機では5百円玉強の小さなドーナツ型の基板、という特殊な形が要求されました。レイアウト設計からだったのと、私にとって初めての発注ということもあり、P板.comでは「1-Click見積」ではなく個別対応で営業担当と相談しながら、基板制作に取り組みました。

P板.comの基板をご利用いただいてどうでしたか?

齋藤さん 薄型タイプに利用する基板の場合、初期型の通信機に元々載っていた部品では1.0mmという薄さは実現不可能でした。そこで、P板.comスタッフから「ミッドマウント型(基板に落とし込むタイプ)の部品を採用し、基板面高さの低背化を図ってはどうか?」という提案をしてもらい、薄さを実現できました。


「薄型タイプの通信機」の基板

齋藤さん 円盤型の通信機では、ドーナツ型リジット基板の丸くて限られた面積に大小さまざまな四角い部品を置くことがミッションでした。特に無線を送信する大きな部品「無線モジュール」の周りは電波送信の影響を配慮してスペースをとる必要があり、レイアウトにはかなりの制限がありました。


「薄型タイプの通信機」の基板

私が作成した当初のレイアウトでは妥協した部品配置をしていたのですが、「できればこうしてほしい」と頼んでみたところ、「この形ではどうですか」など具体的な改善案を提示していただき、無事収めることができました。P板.comスタッフの豊富な知識と経験によるアドバイスで、希望通りに仕上げられたことは本当に嬉しかったですね。


「基板を作り上げられたことは自信につながりました」(齋藤さん)

私はP板.comしか知らないのですが、社内の皆にヒアリングすると他社に比べて「納期が早い」、「やりとりが丁寧」と返ってきました。私はそれに「初心者でもできる」を付け加えたいですね。

P板.comに慣れている先輩に教えてもらったとはいえ、回路図など描いたこともなかった初心者の私が基板作りからメカの実動までもっていけたのは奇跡のようでした。今後、もし私にも後輩ができて基板を作ることになったら、私も間違いなくP板.comを紹介します!

それはありがとうございます!今後の展望をお聞かせいただけますか?

齋藤さん 当社のスローガンは、「小さな技術がつくる大きな世界」です。創業以来、得意分野の技術をベースに異なる技術を混ぜ合わせて、常に新しいものを作ってきました。これからも時代の潮流を読み解きながら、小さな技術を大切にして一歩一歩前進していきたいと思っています。


「よりよい製品が提供できるようがんばります」(齋藤さん)

お忙しいなか、とても貴重なお話をありがとうございました。

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