Vol.024 プリント基板の達人 CiCAM特集

2005/09/14

< 第5回 >
合成レイアの基礎

・合成レイア(Composite)
CiCAMで274X(拡張Gerberデータ)を読み込むと、1ファイルを読み込んだの
に複数のレイアが右側のレイアツールバーに表示される場合があります。
この時、レイアツールバーのTABに「合成」の表示が現れます。
表示ツールバーでは、グレーアウト表示だった「合成表示」ボタンが有効に
なります。
合成レイアが有った場合、CiCAMではこの様な動作を行います。
★合成データの274Xでの表現
1層が図形1、2層が図形2の絵柄としたとき、下図の様に1層-2層は、
図形3になります。

図形1 図形2 図形3
■■■■ ■■■■
■■■■    -    □□ = ■ ■
■■■■ (マイナス)  □□ ■ ■
■■■■ ■■■■

274Xでは図形1のデータは、ポジですから %LPD*%の後に記述されます。
図形2はネガですから %LPC*% の後です。
実際のGerberで見たいのであれば、メモ帳等でGerberデータを開いて
「%LP」 のキーワードを探してください。
%LPD*% ~ ポジデータ
%LPC*% ~ ネガデータ
実際の表示がこの通りでない場合は、直接ご質問ください。
274Xには%IPNEG*%等の反転させる命令が幾つかあります。

★実際はどんなデータで使用するのか
最も一般的なのは、シルクデータです。シルクのインクがランドにかかると
半田付け不良になってしまいます。
274Xの合成レイアを使えば、以下の様に表現できます。

シルク層 - レジスト層 = シルクがランドにかからないデータ

標準Gerberですと物理的にシルクをカットしたり、基板の作成指示で
「シルク層は、レジスト層で抜く事」などとしていました。
※274Xではこれをデータ上の命令で表現出来ます。

★CiCAMでは合成レイア表示だとレスポンスがちょっと遅くなる。
CiCAMでは合成レイア表示でも、通常のレイア表示と同じように作業が出来る
ように、涙ぐましい努力をしています。内部では次の様に作業しています。
1)表示画面と同じメモリを用意
2)このメモリ上に合成の順番で描画
3レイア合成であれば通常の3倍の処理時間になってしまいます。
丁度ペイントブラシ等で塗り潰しの中に白い丸を描くような
    イメージで表示画像を作ります。
3)表示画面へ転送します。

こんな事をしていますので、他のシステムでは難しい合成表示レイアを
何層も重ねて見ることが出来るのです。
システム設計段階でこれだけは実現すべく、色々考えました。

・CiCAMに於ける合成レイア表示テクニック
★表示の切り替え
表示は「合成表示」に切り替えてください。このスイッチは表示ツールバーの
中にあります。このツールバーは双眼鏡アイコンや、メガネアイコンがある
ツールバーです。
透過/上書きモードを透過にします。
このアイコンはステータスツールバーに有る十字のアイコンです。
以上で通常のデータの様に上から重ねた状態で見えます。
上書きモードでは、データの無い部分(黒部分)で下のデータが消えてしま
います。
★どのレイアが合成に関係しているかを調べる
1)レイアツールバーのTABを合成にします。
2)表示色の右側に合成名が表示されていますが、ここでマウス
    の右ボタンを押します。
3)プロパティを指示します。
番号 属性 タイトル 塗り/抜き
1 未設定 塗り
2 未設定 抜き
3 未設定 塗り

等と表示しているはずです。番号がレイア番号です。
今回は1,2,3の3つのレイアから構成されていることが解ります。

★合成レイアと一般レイアを同時表示する
1ファイル目が合成無しで、2ファイル目が合成有りのデータを読み込んだ
場合、「合成表示」アイコンをONにすれば問題なく表示できます。
「合成表示」モードになっていると、この合成に関係するレイアの表示を
ON/OFFしても表示は変わりません。無関係のレイアはON/OFF出来ます。

★合成レイアを編集する
最初は1つの合成レイアだけを表示して作業したほうが確実です。
1)レイアTABにし、全てのレイアの表示をOFFにする
2)合成TABにし、ここで表示をONにします。
ONの状態であれば一度OFFにして、もう一度ONにします。
レイア側も関係するレイアがONになります。
この状態で編集します。
隠れているレイアを表示するには、表示モードを Real-1 に切り替えれば
見ながら編集できます。

★合成レイアに関係するアパーチャ数を調べる
レイアTABを合成にし、合成名の上でマウスの右ボタンを押し、
「アパーチャカウント」を指示すれば数を確認できます。

・今後の対応
CiCAMの合成データの取り扱いは、表示部分は良いと思っていますが、
操作部分で改良を考えています。
274Xデータが多くなって来ましたので、編集の時のみ物理レイアを表示する
ような方法です。
塗り抜きに関係するデータはリンクして...と考えていますので、
期待してください。