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Vol.040 プリント基板の達人

2007/07/25

< 第8回 >
量産を意識した試作での勘どころ

皆さん。こんにちは。(有)実装彩科の斉藤です。
今回は量産を意識した試作プリント基板設計の勘どころについてお話してみた
いと思います。このコラムをお読みになっている方は恐らく、試作基板を多く
取扱っていらっしゃる方じゃないかと想像しています。
今回は今までのコラムのまとめにもなります。

第1回の配信で「機能試作」、「製品試作」、「量産試作」という用語を
ご説明したのですが覚えていらっしゃるでしょうか。
用語の説明は第1回のコラムをご参照していただくとして、「機能試作」、
「製品試作」の基板は1枚が1個のシャーシに納まる形をしていることが
多いと思います。
それに対して、「量産試作」の基板は本番の基板と全く同じ形をしていて、
割基板になっていることが多いです。

割基板は自動挿入機や装着機などの生産設備に適応させるため、
セットメーカ各社では基板の外形寸法を標準化しています。生産設備のレール
の幅(x方向)を固定し(例えば230mm)、他方(Y方向)を180mm、240mm、
320mmなど幾つかのサイズを用意しています。
これらの大きさは第3回コラムで説明した、銅張り積層板の定尺サイズからの
板取りが良くなるように決められています。

割基板は同種多面付けタイプと異種基板面付けタイプがあります。
前者は同じ外形寸法の基板を割り穴で繋いで複数割付し、余分な部分は捨て
基板として標準化寸法に割付けます。
後者は例えば、カーオーディオなどの例で、メイン基板、チューナ基板、
スイッチ基板、電源基板などを一つの標準基板に割付けするタイプです。

このカーオーディオ基板の例を掘り下げると、通常、「機能試作」、
「製品試作」では別々の設計者がメイン基板担当、チューナ基板担当、
スイッチ基板担当、電源基板担当と設計・開発することが多いです。
そして、量産試作になる段階で個々の基板を割基板として一つの基板に
繋げ合わせることになります。

ここからが、今回のコラムの大事なところになります。

結論は、量産試作で割基板にした状態を先に決めてから、各子基板の設計に
着手しないとならないということです。

各子基板の外形寸法はシャーシへの実装状態から決まります。
きれいな正方形や長方形をしているとは限らず、かなり異形であることが多い
です。
先ず、この異形を含む各子基板を標準外形寸法に割付る必要があります。
割付で考えておかねばならないことは次の内容です。

1.デッドスペースの確認:
自動挿入・装着機のガイドレールの位置、はんだ付時に用いるキャリヤ用の
様々なガイド穴、はんだ付リペア治具の適用スペース、重量部品を取付ける
際の補強金具の位置などです。
このデッドスペースは穴、バターンの両方の配置が不可、あるいは穴のみの
配置が不可と通常は区分があります。

2.基材の繊維方向:
銅張り積層板には縦糸と横糸のテンションの掛かり具合から繊維方向があり、
たいていの場合表示がされています。繊維方向によりそりが生じやすい方向が
あります。
細長い子基板を反りが出易い方向に配置しないように、親基板への割付の際は
事前に確認しておく必要があります。

3.バターンの流れ方向:
特にデジタル基板の場合はA面がx方向にパターンの引き回しがされていれば
B面はy方向のパターンの流れになることが一般的です。
子基板を親基板に割付ける際、パターンの流れ方向を統一させる必要があり
ます。
例えば、ある子基板のA面がx方向とすれば、他の子基板のA面は全てx方向
に統一させる必要性があります。
これは、エッチング工程でのエッチング精度を確保しやすくなるのと、ソルダ
レジスト印刷で、ラインの端面に銅見えが生じた場合、dipはんだ付時に
ショートを防ぎ易いというメリットがあります。
また、パターンの流れを統一させるということは、チップ部品等の配置でも
方向が出きるだけ統一されることになり、はんだブリッジ防止にも効果が
あります。

4.子基板間での実装密度を統一する:
ある子基板のみ高密度で、他の子基板は低密度だったとすると、高密度の
子基板の仕様がその割基板全体の仕様になってしまい、コスト高になって
しまうことがあるので注意が必要です。
そこで、予め各子基板の設計で、最小ライン幅、ライン間隙、最小穴径と
ランド径(アニュアリング)、ソルダレジストの逆ランド径を決めておく必要
があります。

5.割り穴の配置をシンプルにする子基板の配置:
子基板の一片は出来るだけ揃え、割り穴が直線に配置されることが望ましいで
す。割り穴は手割り方式、治具割り方式、あるいは自動機の適用でその形状
が異なります。
また、分割後、割り穴の凹凸が生じてはならない場合はVカットを用いる場合
があり、いずれにしても割り穴の形状(特に割り穴の幅寸法)の違いにより、
子基板の配置寸法に影響するので、どの割方式を適用するのかを先に決めて
おく必要があります。

以上の内容について各子基板を親基板に割付し、割基板の形にした図面を作成
します。
そして、先ず親基板としてのデッドスペースを書き込み、次に子基板へ色々な
条件を書き込みます。
この状態にしてから、子基板ごとの図を切り取り各設計者へ渡して具体的な
基板設計を開始します。
この手順を守らないと、量産試作になった時に最初からやり直しになることが
お分かりいただけると思います。
よくあるトラブル事例として、「機能試作」、「製品試作」まではセット
メーカの社員が担当して、量産試作用の割基板は外注メーカに依頼することが
ありますが、この場合、完全にやり直しになり開発期間が延びてしまいます。

そこで、「機能試作」、「製品試作」の基板を設計する人(このコラムを
読んでおられる方が多いと思います)は、外形寸法を決めるメカ設計者と
割基板化する実装設計者とかなり早い段階で打合せを行い、意志疎通を図って
おくことが重要です。

さらに、各子基板の設計に入った際も幾つかの注意事項があります。

1.基本格子の統一:
第2回のコラムで書きましたが、ミリ格子とインチ格子があります。
出来るだけ、子基板で統一した格子を用いることが望ましいです。
現在はCADの進化により、異種格子を用いた子基板でも容易に割付できるよう
になりましたが、データに端数が多く生じるので色々な場面で面倒なことに
なりがちです。
DIP型のIC(P=2.54)を使っていない限りミリ格子を適用されることをお勧め
します。

2.残銅率の均一化:
これは、A面とB面の銅パターンの比率のことを意味し、両面の銅パターンが
比率が30~40%程度違うと反りが生じてしまいます。
この状態で割付すると親基板に大きなねじれが生じ、自動機が適用できなく
なる場合があります。
したがって、できるだけ残銅率を均一化したパターン設計をするとともに、
どうしても子基板単位では対処できない場合は、割基板化した際の捨て基板の
部分の銅パターンを残す/削除するで全体の調整を図る必要があります。

3.A面とB面の同一位置に発熱部品を配置しない:
例えばA面にBGAを配置し、B面にパワートランジスタを配置するようなこと
です。
発熱のために、極部的に基板が膨張し、スルーホールのコーナ部に応力が
かかり、断線しやすくなります。
また、多層基板の場合は層間剥離(デラミネーション)が発生しやすくなり
ます。したがって、発熱も均等になるような部品配置が重要です。

4.重量部品の取り付け方に注意:
重量部品には電子部品自体、あるいは放熱器のようなメカ部品があります。
実際のセット(シャーシ)に組みつけられた時、重量が垂直方向にかかる場合
全く逆さまに基板が取付けられることもあるので、やはり事前にメカ設計者
との打合せが重要です。

いかがでしたでしょうか。
今回は実際の実装設計にあたり、基本的な所のノウハウを纏めてみました。
このコラムもあと1回(海外性基板の紹介)で終了の予定です。
もし、読者の皆さんからリクエストがあればお応えしようと思いますので、
P板.comサポート窓口の方に連絡してください。(info@p-ban.com)

それでは今回はこれで終わりにします。