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Vol.048 特集『プリント基板メーカを選ぶツボ』

2009/06/18

Check1「スルーホールコーナ部の形状」

皆さん始めまして。『プリント基板メーカ選ぶツボ』を担当させていただく
ことになりました(有)実装彩科の斉藤と申します。
プリント基板の技術アドバイザを担当しています。

さて、皆さんはプリント基板メーカを選ぶ際、工程監査、テスト基板の評価、
製造能力の確認、等々様々な手間をかけられると思います。
その中で、テスト基板の評価が最も時間と労力がかかりますが、先ず、スルー
ホールの断面を観察しただけで大体その基板メーカの実力を把握でき、手間を
減らすことができます。
そこで、このコラムはスルーホールの断面観察について、特に重要な内容を
Check1からCheck8 まで8回シリーズで解説して行きたいと思います。

今回はCheck1の「スルーホールコーナ部の形状」です。

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スルーホールはプリント基板内の回路の電気信号を繋ぐだめ、その接続信頼
性が最重要視されます。
スルーホールは銅張り積層板(CCL)に穴あけされた中に銅めっきで形成され
ますが、CCLと銅めっき、さらに部品実装時のはんだの熱膨張係数が違う為
に板厚方向に収縮します。
その時、スルーホールのコーナ部に最も応力がかかるため、このコーナ部に
断線(クラック)が生じ事故を招くことがあります。
もし、スルーホールのコーナ部に"切り込み線"のような構造が存在すると
極めて容易に断線に至ります。
この"切り込み線"は、CCLの穴あけ時の銅箔のバリが取りきれていない
場合や、フルアデイティブ法の場合、接着層のバリが取りきれていない場合
などに生じます。

これらのバリ対策は、穴あけ条件の見直しが主対策になりますが、その条件は
沢山の項目に及ぶのでここでは省略します。

銅めっきの物性(伸び率と抗張力)を一定とするとスルーホールの接続信頼性
は、穴径が小さいほど、あるいは板厚が厚いほどスルーホールのコーナ部への
応力が大きくなるので厳しくなります。
そこで、最近の車載エンジンECUに適用する基板は従来1.6mmだったものを
1.0mmにして安全性のマージンを稼ぐ工夫をすることがあります。

スルーホールのコーナ部の断面形状はスムーズなR形状になっていれば良いの
ですが、ハロゲンフリー基材は多くのフィラーが入っているために硬く、或い
105μmを超える厚銅基板の場合穴あけが難しくなるので、相対的にスルーホー
ルの適正なコーナ部の形状を確保することが難しくなります。
また、海外の基板メーカは穴あけ自体が雑なため適正を欠いている場合が多い
です。このようなことを踏まえて断面観察をしてみてください。

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