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Vol.008 プリント基板の達人

2003/07/16

なぜフィルムは高いのか?

 前回は、銅箔にドライフィルムを貼り付ける工程(ラミネートと言います)
を説明しました。次の工程は「ドライフィルム上に、マスクフィルムを合わせる
作業」となります。露光作業を行う為の準備作業です。

 今号では、作業内容を説明する前に「マスクフィルム」について詳しく説明
させて頂きます。「マスクフィルム」を単に「フィルム」と呼ぶ場合が多く、
これからは「フィルム」と呼びます。

「フィルム」と聞くと、「高い!」と思われる方が多いのではないでしょうか。
実際に、小LOTの基板を調達する際に最大のネックとなる「イニシャル費用」
の中でも、フィルム費が最も高額となります。1枚7千円~1万円が相場です。
標準的な2層基板を製造する際には、最低でも下記5枚のフィルムが必要です。

 1.部品面パターン用 →部品面/半田面のパターン形成に使用します。
 2.半田面パターン用  

 3.部品面レジスト用 →パッドやランド部分など、部品面/半田面の不必要な
 4.半田面レジスト用  レジストを除去する際に使用します。

 5.部品面シルク用  →シルク版を製造する際に使用します。

 すると、フィルムだけでも合計すると3万5千円~5万となります。

 しかし、フィルムの原価はその10分の1以下だと思います。ではなぜこんなに
高いのかと言いますと、フィルムを作る為の「設備の構築」と「環境の維持」
また「フィルム検査体制の構築」に莫大な費用が必要となるからです。

■「設備の構築」

 フィルムを印刷する機械(LPP:レーザーフォトプロッターと呼ばれます)が
非常に高額です。すべての設備を合わせると、1億円は下りません。年間の保守
費用や、光源(電球)の交換、現像液の交換などのランニングコストは、
基板製造設備の中で最も高額です。


■「環境の維持」
 
 フィルム作成中にホコリなどの異物が混入すると、異物がフィルムに印刷
されてしまい、パターンとパターンの間に異物が印刷されると「ショート」の
原因となり、パターン以外の箇所で印刷されると「残銅」の原因となります。

 さらにフィルムは温度と湿度の変化にとても弱く、すこしの変化でも寸法が
伸び縮みしてしまい、正確な位置、形状にパターンを形成することができなくなります。

 その為、LPPを設置してフィルムを作成する場所は「クリーンルーム」としな
くてはならず、防塵はもちろん、温度、湿度が24時間一定に保たれます。この
環境を維持する為には、電気代、フィルターの交換、クリーンルーム用の掃除具
購入など、多額の費用が発生します。工場によっては、工場全体の電気代の
80%がこのクリーンルームの維持にかかります。

■「フィルム検査体制の構築」

 フィルムに不具合があると、そのフィルムを使用して製造した基板は全数
不具合となります。工場にとっては大きなロスになりますので、フィルム作成
後は厳重なチェック体制が必要です。

 人による目視検査はもちろんですが、外観検査機を使用して寸法検査、
位置精度の測定、間隙の測定など、目視では確認できない検査も行わなくてはなりません。
検査体制の構築と維持にも多額の費用が発生します。


 これらの費用が、すべてフィルム費に含まれています。
フィルム自体は高額なものではありませんが、フィルム作成に関する費用を
すべて含めると、どうしてもフィルムは高額になってしまうようです。

 次号では、フィルムの作成方法をご説明します。