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お客様の声 有限会社大平技研 様

2017年4月

13年来のユーザー様は世界最先端のプラネタリウムを生み出す会社。その開発秘話とは?

本当の宇宙に限りなく近い、人工宇宙を表現するプラネタリウム。その製作で世界を牽引する会社が有限会社大平技研です。同社と日本科学未来館が共同開発した「MEGASTAR-Ⅱcosmos」は、「世界最先端プラネタリウム」として2005年にギネス世界記録に認定。実はその中にはP板.comの基板が使われていました。
同社の大平貴之さんと深見幸宏さんに、基板を使った開発秘話や、同社の現在の事業と今後の展望などについてお伺いしました。

本庄 武 様

大平貴之 様(写真左) 代表取締役/プラネタリウム・クリエーター 深見幸宏 様(写真右) エレクトロニクス・エンジニア

2004年よりP板.comをご利用いただきありがとうございます! 初めてご利用された頃の開発エピソードをお聞かせいただけますか?

大平さん 2005年が大平技研設立の年ですから、2004年はまだ私一人で製作していた頃ですね。2004年、日本科学未来館と共同開発したMEGASTAR-II cosmosを納品するため、さまざまな基板をP板.comで発注したことをよく覚えています。そのcosmosが2005年に「世界最先端プラネタリウム」としてギネス世界記録に認定されました。かつて恒星の投影は通常9,000個前後だったのですが、「MEGASTAR-Ⅱシリーズ」は500倍以上の約500万個になっていました。


日本科学未来館に今も健在のcosmos

それまでは基板はどうされていたのですか?

大平さん 実は、MEGASTAR-Ⅱが出る前は自分で基板を作っていたのです。エッチング液も過硫酸アンモニウム液や、塩化第二銅液などを自分で試し、スルーホールまで挑戦して。しかし、こんな手間がかかることをしていたら納品に間に合わないと一念発起。OrCADを一式買い、ガーバーデータを作ってP板.comに発注することにしました。きっかけはあまり覚えていないのですが、ものづくり界隈でP板.comが話題になっていたので認識していたんですね。それからはずっと使わせていただいています。自分で苦労していた分、レジストもシルク印刷もかかったパリッとした基板が短期間で届いた時は、相当ワクワクしました!


「実は今も時々基板を作っています」(大平さん)

今はどのような体制でプラネタリウムを製作されているのですか? P板.comの基板のご利用状況も教えてください。

大平さん 現在14名(役員含む)の社員のうち、電気系開発に2名、メカ開発に1名のエンジニアがいます。製品として世に出すための作業は専任エンジニアに任せ、私は製品の前段階担当。いろんなアイデアを思いついては試作品をちょこちょこ作っています。

難しいのは、投影する恒星を配置していく原板作りです。原板は、気温、薬品の微妙な成分の違いなどで簡単に失敗します。この技術は、私が25歳の頃に確立した20年来の技術*なので今も私が関わることが多いですね。
*CVC(コンピュータ数値制御)によるレーザーでフォトレジスト露光する装置を独自開発。この技術により1998年それまでの100倍以上の恒星を投影するMEGASTARが誕生し世界を驚愕させました。

深見さん 電気系エンジニアの私が、製品仕様に沿ってCADで電気回路/パターン設計を行い、基板の発注を担当しています。
P板.comはガーバーデータチェックがしっかりしていて、製造前に不具合箇所を指摘してくれるので、とても助かっています。設計しても、部品を実装して実際に意図とおりに動作するか確認するまではやはり心配なので。
試作段階では、汎用チップ部品を無料で提供してもらえる実装サービスも重宝しています。これまで基板を発注して問題があったことは一度もありませんでした。かなりトリッキーな形で発注しても、ちゃんとそのまま仕上がってきましたから(笑)

現在どんな製品や事業に取り組まれていらっしゃいますか。

大平さん 今までのノウハウを踏襲しながら、まったく違う方法を生み出し実行している例がちらほらでてきています。例えば、2012年かわさき宙(そら)と緑の科学館に設置した「MEGASTAR-Ⅲ FUSION」では、光学式(1~2等星)、デジタル式(それ以外の星や他の映像)と2つの技術を融合させ、より多彩な星空の表現を可能にしました。肉眼では見えない星まで描き出しているため、同科学館では来館者に双眼鏡を貸し出しているんですよ。
また、電子的になりがちなLEDを光源に使うなかで、LED照度をスムーズにコントロールできる調光装置「NanoDimmer」も開発しました。これは舞台装置等にも使えるものです。


かわさき宙と緑の科学館にある「MEGASTAR-III FUSION」

深見さん 昨年、当社肝いりの一般向けプラネタリウム「MEGASTAR CLASS」を新発売しました。当社が技術提供しセガトイズが販売している「ホームスター」が家庭用だとすると、MEGASTAR CLASSはプラネタリウム館と同等レベルの星の投影が可能で、セミプロユースといった立ち位置です。コンシューマー商品といえども100万個もの星を投影します。1機100万円以上するにもかかわらず、1年の想定販売数をクリアしました。この中の一部にもP板.comの基板を使っています。まだ日本でしか販売していないのに、海外からわざわざ買いに来られた方がいらっしゃったのは嬉しかったですね。


上面の投影レンズから100万個の星を映し出す「MEGASTAR CLASS


「いま世の中にこれに競合する商品はありません」(深見さん)

今後の展望をお聞かせください。

大平さん 私たちの強みは星・宇宙を地上に描写することです。プラネタリウムの可能性は専門館にとどまりません。「お風呂から、スタジアムまで」大小問わず、どこでも星を投影することができます。これまでサッカーやバスケットボールなどスポーツイベントや、観光列車「SL銀河(JR東日本)」の車内などさまざまな場所でも投影してきました。「種子島宇宙芸術祭」では、干潮のときだけ洞窟の壁に投影するなんてリスキーなことにも挑戦しています。


種子島の洞窟の壁に投影

「星を見せる」ということは、私たちの暮らしの中では一見役に立たないことかもしれません。しかし、先行きが不安定な世の中だからこそ、宇宙の広がりを人々に実感してもらうことはとても意義のあることだと思うのです。
「あらゆる場所に星空を」。それが当社の願いです。これからもさまざまな方にお声かけいただけるよう技術やアイデアを準備していきます。


「地上最高の人工宇宙を作り続けます! 」(大平さん)

お忙しいなか、とても貴重なお話をありがとうございました。

今回ご協力いただきました大平技研様の製品紹介


施設向け「MEGASTAR」シリーズ
国内だけでなく遠い国々でも活躍中!


パーソナルユース向け「MEGASTAR CLASS
究極のパーソナルプラネタリウム 至高の星空をあなたの日常空間に

©写真提供:大平技研

大平 貴之 様 深見 幸宏 様にご利用いただいたサービス

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