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お客様の声 東京工業高等専門学校 様

2018年03月

日本の未来を作ってるんです

空気亜鉛電池による新しい仕組みの酸素センサを通して、日本の理科教育を改革し、世界へ羽ばたく化学者を育てる。この度、日本化学会第42回化学教育賞を受賞された、独立行政法人国立高等専門学校機構 東京工業高等専門学校物質工学科教授であられる髙橋三男先生に、酸素センサにかける思い、理科教育の未来、そしてP板.comへの期待についてお話を伺いました。

髙橋三男 様 / 高橋英暉 君

髙橋三男 様(写真右) 独立行政法人国立高等専門学校機構
東京工業高等専門学校物質工学科教授
高橋英暉 君(写真左) 当校4年生 髙橋研究室研究員
※先生とはたまたま姓が同じだそうです。

酸素センサとはどのようなものでしょうか

髙橋先生 空気亜鉛電池の特性を利用した、非常にシンプルなセンサです。


酸素センサ本体(4次試作)

空気電池をセットする電池ホルダ、固定抵抗2個、可変抵抗1個、そして電流値を取り出すケーブルで主に構成され、各部品はプリント基板に実装されます。
空気亜鉛電池は負極に亜鉛が充填され、空気中の酸素と反応して電流を発生させます。
その出力電流と、可変抵抗をキャリブレーションすることで得られる電圧値が、まさに酸素濃度として計測できる仕組みです。
例えば、呼気に含まれる酸素濃度を測ることで、その人がスポーツしているかしていないか、ほぼ100%の確率で当てられるんですよ。

髙橋先生 「後藤さん、ちょっとこのビニール袋を使って、呼気を入れてみてください。」


P板.com COO 後藤による実際に呼気を入れての実験


呼気の酸素濃度を測定できる

髙橋先生 「酸素濃度が低めですね。何かスポーツやられてます︖」
後藤 「はい、キックボクシングを少し」
髙橋先生 「やっぱりそうでしたか。本格的なアスリートは、16%台の数値が出たりするんですよ」
このように、今回の酸素センサは、誰でも簡単に、そして繰り返し酸素濃度が測定できるのが、最大の特徴です。


髙橋先生

酸素センサが生まれたきっかけについてお聞かせください

髙橋先生 これまで酸素濃度を測定する理科教育の現場では、非常に高価な計測器と、1回使いきりのガラス検知管による授業を行ってました。
ガラス検知管は、使いきりのためランニングコストがかかり、児童一人一人が実験することが困難で、グループや班での実験に留まっていました。
また、ガラス材を加工して実験するため、怪我の危険もあります。
元々、植物の根や昆虫の呼吸の酸素に関わる研究もしており、酸素センサや二酸化炭素センサのアイデアを試行錯誤しているうち、空気亜鉛電池が酸素センサとして活用できる可能性を見出しました。
基板を自作し実験、改良、また実験を繰り返すうち、徐々に最終形に近づき、従来の教材では達成できなかった、酸素濃度測定領域が2倍も可能で、しかも繰り返し使用でき連続測定のできるといった、まったく新しい酸素センサの原型が生まれました。


初代酸素センサの原型モデル

P板.comにお話を頂戴した経緯をお聞かせください

髙橋先生 自作した酸素センサを希望する方には、無料で貸し出しを行ってきました。ところが、希望者があまりにも多く、無料で貸し出しすることが出来なくなりました。

どうすれば、量産できるのか……

学校内の他の先生にも相談したところ、「P板.comという会社を利用して、よく基板を作っているよ」と話す先生がいらっしゃいました。これが縁です。
5年ほど前の話になりますが、それ以来当校の基礎物質工学実験や卒業研究などにおける酸素センサ製作実習用に、毎年多くの基板(生板)の製作を行ってもらいました。


学生の高橋君に、計測の指示を出す髙橋先生

これまで多くの生板を、短納期でリーズナブルな価格でP板.comに製作していただいており、基板を自作することも無くなり、とても助かっています。


試作品の評価を高橋君に任せている髙橋先生

P板.comへ期待することはございますでしょうか

髙橋先生 各地で、地元の先生方や、教育関係の方達へ酸素センサの仕組みや組立ての講習会を行っておりますが、中には、はんだこてが初めての方や不得手の方も多く、講習会の時間がはんだ実装で多く取られてしまい、仕組みや教育方法などの講義の時間が取れにくいといった弊害が生まれてきました。そこで、はんだこてを使わずに組み立てられる方法は無いか、P板.comへ相談したところ、基板に直接部品を挿入する仕組みを提案いただきました。
これなら、はんだこてが不得手な方々や、小学生向けの教育教材としても使える目途が立つのでは、と考えております。
まだまだ解決しなければならない課題も多く、開発途上ですが、P板.comには量産性の検討や、商流・販売まで是非お願いしたいと思っています。


今後の展望について熱く語る髙橋先生

酸素センサの今後の展開について教えてください

髙橋先生 先日、先生方たち向けに、酸素センサを題材にした本も執筆いたしました。
『酸素が見える!楽しい理科授業(酸素センサ活用教本)』(日刊工業新聞社)

また平成32年には、学習指導要領が大きく変わります。
部品点数も少なく、安価に、そして誰もが簡単に組立てが出来る酸素センサは、教育現場において大いに魅力的なツールです。
生徒一人一人が酸素センサの仕組みを理解し、自分で組み立て、実験が出来ることは、光合成の仕組みや酸素の役割(良い点も、悪い点も含め)を学習するうえで、大きな武器になると期待してます。
私の行っている研究の中で、他にもいくつかそのようなツールを考えておりますが、酸素センサはその中でも、酸素の測定、見える化を通して、子供たちの思考力を伸ばすことで、未来の化学者を育てる大きなツールとなることを期待しています。


「実験とインタビューが終わり肩の力が抜けました」(髙橋先生)

お忙しいなか、とても貴重なお話をありがとうございました。

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